2012年2月10日金曜日

福島第一、1号機のマーク1原子炉は40年前の改善も欠陥だった

フェアウィンズ、ガンダーセン氏からの直近アップデート。

福島第一原発で昨年3月12日に爆発した1号機のマークI型原子炉は、40年前に米ブランズウィック原発でのストレステストで明らかになっていた欠陥がありました。ベントが本当に機能していれば格納容器の爆発には至らなかったのです。

New Containment Flaw Identified in the BWR Mark 1
沸騰型原子炉(BWR)マーク1で新たに確認された格納容器の欠陥


フェアウィンズのアーニー・ガンダーセン氏は、1号機が爆発するまでの1日、何が起きていたかずっと考えていて構造計算ミスがそのままになっていたことが解った、との見解を公表しました。

ビデオ下にある要約の和訳は以下の通り。

フェアウィンズは、福島第一で封じ込めを放出するための原子力産業の計画が格納容器の障害とそれに続く爆発を防止することができなかったことを示しています。福島第一1号機と同じ米国の原子炉で40年以上前に実施した封じ込めのストレステストから構造計算を見てみましょう。このビデオでは、その構造計算は、福島第一1号機が爆発した理由についての重要な手がかりを提供しています。

[ざっと和訳してみます。]
福島第一原発で失われた設備は世界的にも壮観で、数十億ドルの資産でしたが、ほんの数日の間に数千億ドルの負債となりました。単独の産業事故では史上最大規模と思われます。

問題は、津波から事故までの間に、本当は何があったのかということです。それは歴史が物語っています。

ここで物理的構造にちょっと触れますが、原子炉の圧力容器は、格納容器の中にこのように収納されています。てっぺんには鉛のフタを載せ沢山のバルブで閉じてあります。

このように、この入れ物が格納容器だとすると[紅茶インフューザーを持って]、圧力容器からの漏れがあった時には、理論上は中に全て閉じこめられることになっています。

長年知られていた事ですが、マークI型原子炉の格納容器は大変小さいものでした。80年代になってNRC(米原子力規制委員会)は、[蒸気を逃すための]ベントを付けてさせるよう規制しました。当初設計した技術者らには、原発事故のときに水素ガスが溜まってしまうことが認識できていなかったためです。

福島で起こったことも同じでした。原子炉が冷やされ、フィルタが高温になったら原子炉の格納容器が水素ガスをため込むはずでした。

データを見ると、そこで問題が起きています。
[数値データの詳細解析 - 後で訳しますw
とりあえす、データ表の中で「0.1」(1平方インチあたり14ポンド)というのが正常な圧力です。]

そして津波で電源が失われました。[←津波の前に地震で喪失したはずですがw]

東電は当初、ベントは機能していたが、配管トラブルがあったので排気できなかったと証言していました。が、格納容器内のデータを見ると、そうではありません。午前2時には0.87(120ポンド/平方インチ)あった圧力が午前9時30分に下がり始め7時間後には約9分の1に下がっているのです。

この容器は120LB/in2の圧力に耐えられるように設計されていません。

どうして午後のほうが早朝より圧力が低いなどあり得たのでしょうか。原子炉の中で劇的な放射性化学反応が進行し、あらゆる水素ガスが発生していた最中にです。

格納容器の圧力が下げられていたなら別ですが、そんな事は起きていません。

ここで私が思い出すのは、40年前に米ノースカロライナのブランズウィック原発のストレステストのことです。米原子力産業もNRCもIAEAも日本当局も皆、知っていて黙殺し、それは起きなかったことにされています。[ストレステストは今ではコンピュータのシミュレーションと理解されていますが、イラストを見ると、非放射性の液体で実際に実験した模様?]

何がこのテストで明らかになっていたかというと、100LB/in2という圧力がかかると、非常に不思議な予期せぬことが起こり、バルブすべてが延びて格納容器のフタを持ち上げ、そこからガスが漏れ出すのです。

福島第一の1号機の格納容器は125ポンド/平方インチまで圧力が上がり(これはテストでなく事実のイラスト)、その後、ベント開始前に105ポンド/平方インチに下がっています。

もう一枚の写真を見ると、明らかにベントは既に開かれています塔のてっぺんから蒸気が出ているのがわかります[爆発より前のNHKニュース画像]。非常に高濃度の放射性ガスと水蒸気が放出されているのです。

つまり、爆発の前に格納容器のベントは動作していたのです。

日本当局[東電?]では、ベントはできているはずなのに配管から原子炉建屋に理由不明の漏れがあって爆発が起きたと説明していましたが、データは日本の原子力業界のその見解と異なります

データからわかるのは、[NRCが改善策として80年代以降、世界中の同型の原子炉に付けさせたはずのベントを使用しながら]40年前のブランズウィック原発でのストレステストと同じことが起きたということです。

少なくとも1号機の格納容器は8時間以上、実質、破裂状態が続いていたのです。圧力が105LB/in2になるまで、圧力容器のフタは持ちあがったまま、格納容器の内外、建屋内に汚染ガスが長時間にわたり放出され続けていました。

そして一瞬にして建屋を破壊する爆発が起こりました。

これは非常に重要な点です。原子力産業も日本当局も、ベントを強化したらこのような事故は起きないとしてきました。ですが、フタが持ちあがるのであれば、ベントというのは不適切です。[排気しても爆発する構造ということですw]

マークI型原子炉の格納容器はベントでは解決できない設計ミスが元々あるということです。福島第一のメンテナンスが適切に行われていたかどうかというのは非常に重要な問題です。[行われていたのであれば]世界中でまだ使用されている沸騰水型原子炉(BWR)に関わってくるためです。

この件に関しては、来週も検証していきます。

[雑訳おしまいw。最初にガンダーセン氏が負債規模に触れた事も思い出して下さい。(私見ですが)GEの世界中の購入者...というか納税者やポテンシャル被爆者...に対するProduct Liabilitiesとも関係するわけです。]

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